Column

CYOD とは?Mac を採用するメリットを詳しく解説

従来の企業におけるデバイスの提供方法は、企業側が従業員にデバイスを指定して配布することが一般的でした。しかし、近年は自分のデバイスを持ち込む BYOD が増えたことや、従業員の働き方の多様化が進んだことから、自分でデバイスを選択する CYOD が注目されるようになりました。

そこで、従業員選択制( Employee Choice )を採用する企業が増えており、 Mac を採用した場合、高いユーザービリティにより従業員の生産性や満足度の向上、また Mac はセキュリティ対策にも強いため、セキュリティ対策の強化への期待などが大きな魅力として挙げられています。

本記事では、CYOD の概要と Mac を採用するメリットについて説明します。また、企業内の Mac を管理するために最適なソフトである「 Jamf Pro 」についても解説します。

CYOD とは

CYOD( Choose Your Own Device )とは、企業が用意した複数の業務用端末から自分が使いたい機種を選んで使用する方法のことです。デバイスの購入・設定などは企業側で行いますが、事前に承認された範囲内であれば、プライベートでのデバイス使用を認めているケースが多く見られます。

CYOD 以外の企業内のデバイス提供方法

企業内のデバイス提供方法は、CYOD 以外にも COPE や COBO 、BYOD 、BYAD などがあります。それぞれの特徴を簡潔に解説します。

COPE ・ COBO の特徴

COPE( Corporate Owned Personally Enabled )と COBO( Corporate Owned Business Only )は、企業が指定したデバイスを使用する方法のことを指します。社員が好きなデバイスを選ぶことはできない点が特徴です。COPE では(一定の範囲内で)プライベートでの利用を認めていますが、COBO の場合は業務のみでしかデバイスの利用ができないといった違いがあります。

BYOD ・ BYAD の特徴

BYOD( Bring Your Own Device )と BYAD( Bring Your Assigned Device )は、個人所有のデバイスを業務で使用する方法のことです。BYOD と BYAD の違いは、利用するデバイスが企業から指定されているかどうかです。

BYOD の場合、個人で所有しているデバイスを持ち込むため、企業側にとってはデバイス購入費や通信費などのコストを削減できるメリットがあります。ただし、セキュリティ設定や MDM によるデバイス管理を企業側で実施できない点がデメリットです。BYAD は、会社側で社員が使うデバイスを指定するため、セキュリティ対策を行いやすいメリットがあります。

以上の内容を簡単にまとめると以下表のイメージになります。

CYOD COPE COBO BYOD BYAD
概要 企業が用意した複数のデバイスから自分が使いたい機種を選択し使用。 企業が指定したデバイスを使用。一定範囲でのプライベート利用が可能。 企業が指定したデバイスを使用。プライベート利用は不可。 個人所有のデバイスを業務で使用。 個人所有のデバイスを業務で使用するが、機種は企業が指定。
デバイスの購入 企業 企業 企業 社員 社員
デバイスの選択 × × ×
私的利用 ×
企業の
メリット
社員の生産性向上 特定のデバイスのみの購入・設定・管理となるため負荷が少ない 左に同じ コスト削減が可能 左に同じ
企業の
デメリット
複数デバイスの購入・設定・管理が必要 社員への操作レクチャーに手間が生じる 左に同じ セキュリティ設定やデバイス管理が難しい 左に同じ

従業員選択制( Employee Choice )を採用するメリット

ここまでご説明した通り、企業のデバイス提供方法には様々なやり方があり、自社に適した提供方法を選ばなければなりません。
中でも、CYOD や BYOD といった従業員が選択できる制度は、従業員選択制( Employee Choice ) として、従業員にとっては働く場所を選ぶために、雇用主にとっては優秀な人材の採用とビジネス維持のために、そして、企業にとっては業界内での競争力を高めるために必要とされてきています。
実際、Jamf 社が 2021年に実施した「Global Study: 従業員選択制と、その未来の働き方へのインパクト」調査では以下の結果が出ています。
(調査対象:2,000 人の従業員と、民間および公的機関の500人の IT 関連の意思決定者( ITDM )を対象としたグ ローバル調査)

  • 91%が、従業員選択制プログラムから 利益を得られたと回答。その理由としては、生産性、積極性、肯定感の醸成などが挙げられている。
  • 70%は、デバイスの選択肢が与えられれば、その企業に入社する可能性が高くなると回答。
  • 75%は自分のデバイスを選ぶことができれば、その企業にとどまる可能性が高くなると回答。
  • 89%は、従業員の選択は、非常に重要であり、給与を犠牲にしてでも自分が選んだ新しい業務用デバイスを手に入れたいと考えている。

上記結果からわかるように、リモートワークという働き方がスタンダードになった今、仕事で使う業務用端末がプライベートで使い慣れている iPhone や iPad と同じ操作感でストレスなく利用できる点は、ユーザーにとって大きな魅力と言えるでしょう。これらのデバイスを業務利用することで、新たにデバイスやアプリ操作を一から学ぶ必要もなく、社内全体の生産性向上が期待できます。

日本国内の「Employee Choice」はこれから

日本企業の業務システムは、Windows が中心となっています。そのため、Employee Choice は「業務端末に Mac を選択肢に加えること」「モバイル端末を Android、iOS から選択できるようにすること」のいずれかを指すケースが多いです。

最近では、リモートワークが普及してきたことや採用活動の自社アピールポイントとして日本でも Employee Choice を検討する企業が増えています
実際に Employee Choice を社内に採り入れることで、得られるメリットには以下が挙げられています。

ユーザーの生産性向上およびヘルプデスク業務効率化

Apple デバイスは使い慣れたユーザーが多いため、業務端末の操作性が上がり生産性向上が期待できます。
また、ハードウェアメーカー標準アプリ等に関しても、使用したことがあるユーザーが多いため、操作に関する問い合わせも減る傾向があります。

企業イメージの向上

「社員の多様性を重視している」「働きやすい環境を整えている」等、採用活動で企業選定の強みポイントとなる可能性があります。

Employee Choice を取り入れる際には、Apple が提供している「Employee Choiceガイド」もご参考にしてください。

しかし、Employee Choice を採り入れた場合、管理する機種が増えるため IT 担当者の負担増加が課題として上がってきます。そこで、Employee Choice を取り入れる準備として、Mac  を一括管理できる「 Jamf Pro 」を導入している企業が多く見られます。

「 Jamf Pro 」に関する詳細は、最終項でご紹介します。

Mac を採用するメリット

前述した調査結果の通り、Employee Choice を取り入れている企業では、7割以上の社員が Mac を選択しています。この章では、Mac を採用するメリットについて詳しく解説します。

①導入後のランニングコストを抑えられる

1つ目のメリットは、導入後のランニングコストを抑えられる点です。Mac 本体の購入価格は、Windows と比べて高額になるケースがありますが、同等レベルのスペックで比較した場合、Mac の方がコストパフォーマンスに優れているケースが多く見られます。さらに、Windows と比較した場合、運用・保守サポート等のコストも抑えられる可能性があります。

2019 年に「 Forrester Consulting 」が実施した調査によると、M1 チップ搭載の Mac( MacBook Air および13インチの MacBook Pro )を導入した企業では、IT 管理コストの削減と Mac デバイスの採用および導入の短縮化、Mac を使用する全従業員の生産性が向上したというデータも存在します。

参考:企業におけるMacのTotal Economic Impact™(TEI):M1チップに関する更新

②IT 担当者の作業負担を軽減できる

2 つ目のメリットは、IT 担当者の作業負担を軽減できる点です。Mac は、Apple が OS・ハードの両方を設計・製造しているため、Windows で発生しやすい互換性やメーカー機種特有のトラブルが少なく、サードパーティー製のソフトの実行が制約されるため、その点において安全性が確保されています。

その他、管理対象が Windows のみだった従来の環境に Mac が含まれることで懸念されやすい管理工数に関しても、アップルでは無償で「 Apple Business Manager( ABM )」を提供しており、Jamf Pro のような MDM と組み合わせることで、Mac のほとんどの管理作業を自動化できます。

③アップルケアによる迅速かつ的確なサポートを受けられる

3つ目のメリットは、アップルケアによる迅速かつ的確なサポートを受けられる点です。有償のアップルケア( AppleCare for Enterprise )を利用すれば、社内のヘルプデスクでの対応よりもさらに迅速で的確なサポートが期待できます。アップルケアは、週7日・24時間の電話サポートや出張修理サービスなど、充実したサポートを提供している点が魅力です。

これにより IT 担当者は、業務を滞りなく進められるようになるため、本来やるべき業務に専念できるようになり、社内ヘルプデスクの負担軽減にもつながるでしょう。

以上の内容から Mac 導入を具体的に検討されたい場合は「Mac を会社に導入するためのプロセス・やるべきことを詳しく解説!」もご参考までにご覧ください。

Mac の適切な管理を実現する「Jamf Pro」

社内の Mac 管理には「 Jamf Pro 」がおすすめです。
Jamf Pro は、企業内にある Apple デバイスの運用・管理ができる Apple デバイス専用の MDM( Mobile Device Manegement )サービスです。デバイスの一括導入・設定、アプリ配布などの運用の簡略化や、デバイス紛失時のロック・ワイプなどのリモートコマンド実行、管理等が行えます。

MDM でできること
アプリケーションや端末設定の自動配布
リモートコマンドの実行
資産管理

※ MDM に関する詳細は「MDM とは?Apple デバイスの管理ができる MDM の仕組み・できることを徹底解説!」をご参照ください。

Jamf Pro の特長

Jamf Pro の特長には以下などがあり、IT 担当者のデバイスの導入・運用・管理で発生する業務負担を軽減することができます。

macOS 専用 Jamf 独自フレームワーク ( Jamf Agent )

一般的な MDM 製品は、Apple が提供している MDM フレームワークによって統制を実現していますが、Jamf Pro の macOS 製品においては、 MDM フレームワーク+ Jamf Pro の独自フレームワーク「 Jamf Agent 」によって、管理者権限が必要となるような深いレベルでの設定と制御が可能です。

アプリカタログ ( Self Service )

デバイス側でアプリをセルフインストールすることができます。そのため、ユーザーは IT 部門の助けを借りずに、必要なときに必要なアプリを手に入れることができます。 また、コンテンツはユーザーの所属部署等に基づいてパーソナライズできるため、 IT 部門への問い合わせ件数やサポートにかかるコストを削減することもできます。

デバイスの高度検索

Jamf Pro で収集できるインベントリ情報は、デバイス属性とユーザ属性の情報をあわせて 120 種類以上あり、さらに拡張属性として任意の情報も登録することができるため、各属性情報を条件式で組み合わせることで細かな検索が行えます。そのため、追加の設定配布を細かな条件を指定して実施することができます。

管理者へのメール通知

Jamf Pro には手動検索だけではなく、あらかじめ条件を登録しておくことで、自動で条件に合致するデバイスの有無を定期的に確認し、検知すると管理者へメール通知することが可能なため、例えば、 Jamf Pro と最後に通信してから一定日数経過したデバイスなど、セキュリティ対策もしっかり行えます。

また「ゼロデイサポート」を10年以上連続で維持している唯一の MDM です。Apple の OS  アップデートへ即日対応することで、最新 OS リリース時の動作リスクや管理者負担を大幅に軽減します。

繰り返しになりますが、社内に Apple 製品を導入することで、従業員が普段利用している Mac や iPhone などと同じ操作性で仕事ができるようになり、操作面でのストレスを感じることなく生産性が高い業務を行えるでしょう。

また、Jamf Pro を導入すれば、従業員の生産性や利便性、創造性を損なうことなく利用でき、企業側のセキュリティ管理も効率的かつ安全に遠隔でできるようになります。

Jamf Pro の導入事例

最後に、Jamf Pro を導入して Mac の円滑な管理や運用・管理コストの軽減を実現した事例をご紹介します。下記の記事をご覧ください。

この記事をシェア